全国各地に有名な夏のお祭りはたくさんあるかと思います。奈良のお祭りは古都ならでは。燈花会という8月上旬の数日間にわたって開催されるとても情緒豊かで素敵なイベントです。

奈良公園の会場一帯に約20,000個のろうそくが灯ります。その光がゆらゆらと揺らめく様子はなんとも幻想的!
夕方少しずつ暗くなってきた19時。サポーターさんたちが1燈1燈手作業で光を灯していきます。

私はこの時間、近鉄奈良駅からそう遠くない猿沢池にいました。
まだ明るいのが写真からもわかりますよね。ちなみに奥の三角に刈り込まれた山肌は毎年お盆に行われる「大文字焼き」の大の字の部分です。
のんびりしているとあっという間に陽が落ちました。こうなるとグッと雰囲気が変わってきます。

猿沢池からすぐ近くの興福寺で、まずは南円堂にてお参りをします。

振り返るとそびえたつのが興福寺五重塔。

美しいです。いつ見てもその美しさに圧倒されます。お隣の東金堂前にはずらりとろうそくが並んでいて、さらに荘厳な雰囲気を醸し出しています。

五重塔と東金堂の両方をひと目に収められるポイント。この時刻になると五重塔のライトアップも見事に浮かび上がっていますね。
燈花会って言葉もきれいだと思いませんか。
燈花とは火の灯ったろうそくの先がお花の形に見える瞬間があることから名付けられたそうです。この形が浮かび上がると縁起がいいのだとか。

じっくりと光を眺めて見てみました。ちなみに遷都1300年祭から使われているろうそく立てはご愛敬ですね。
まるで吸い込まれそうな感覚・・・。ろうそくに祈りや願いを寄せる気持ちがよくわかります。

帰りにもう一度猿沢池の前を通りました。すっかり夜の佇まい、夕刻とは全く違った表情の猿沢池がそこにはありました。
ろうそくの光に人々の願いをのせて、夜の世界遺産を歩くイベント燈花会。
この日回ることができたのはわずか一画で、本当はもっともっと奈良公園の奥まで続いています。日によっては春日大社や東大寺まで入ることができます。
機会があればぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。続いている平和を感謝せずにはいられない、そんな時間を過ごすことができることと思います。